池田ユキオ『ゴミ屋敷とトイプードルと私 #港区会デビュー』

2019年7月4日

承認欲求をこじらせた女性のマウントバトルで話題をかっさらったレディコミが、遂に単行本となって登場。

(以下、本書のネタバレがあるので注意)

腹黒OL・西村沙耶はトップアートディレクターと婚約し、その上営業部に異動と勝ち組一直線の人生を歩んでいた。しかし、そんな彼女は目標があった。彼女はフォトスタグラマー(インスタグラマー)のmisakiに心酔していて、彼女に近づこうと必死だったからだ。

時を同じくして、営業部に派遣社員の中山泉が沙耶と同じ部署に配属となる。泉は沙耶と親しくなろうと思うが、沙耶は泉を「ハケン」呼ばわりして眼中に置かなかった。そして、沙耶は営業部の先輩たちから異業種交流会の誘いに乗り、欲に溺れる生活をフォトスタグラム(Instagram)上にて発信し続ける。しかし、欲に溺れる生活が沙耶自身の身を亡ぼすことになろうとは、その時は誰も気がつかなかった――。

一話一話読んでいくと、承認欲求に飲み込まれた女性社員が成功の階段を歩んでいるように見えるが、次第に彼女自身があざ笑った明日香と同じ――否、明日香以上の破滅を迎える。破滅に飲み込まれたらもう引き返すことはできない。彼女に待っているのは社会的な死、ただそれだけ。

調子に乗った一人の女性がSNSのアカウントを炎上させ、最後は自滅する姿を一笑に付すことができますか? 答えは「NO」です。SNSを使っている人ならわかりますが、ちょっとしたことで炎上したら、待ち受けるのは社会的な「死」です。自分はスマホゲーで炎上寸前まで行き、アカウントを消したのが2回ほどありました……。

そして、沙耶のように誰かに見てもらいたいという承認欲求をこじらせてしまうのも考え物です。筆者自身、承認欲求をこじらせ、他人を縛り上げる人間に1年近く付き合わされました。承認欲求をこじらせると、他人すら不幸にしまっせ……。

(追記:2019年7月4日)

単行本版では、施設に預けられた子供たちのサバイバルを描いた「生贄少女」が追加されています。こちらも後味の悪さは本編と全く変わりません。明日香の話を追加してもらいたかったなぁと思うのは自分だけじゃなかろうか……。

あとがきによると、第1話の原稿中に作者が出産し、2話目以降減ページで描いたために沙耶の転落劇がかなりの長さになったとのこと。出産してたなんて知らなかったです。しかも女性だったなんて思いもよりませんでした。

単行本に収録されていない読み切り版と後日談を読みたい人は、KindleストアやBOOK WALKERなどで分冊版が発売されています。是非そちらもお読みください。

ゴミ屋敷とトイプードルと私 (1) (フラワーコミックススペシャル)
池田 ユキオ
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