単行本

(原文公開:2018年4月23日)

恋愛工学(ぶっちゃければ心理学を応用したナンパテクね)をモチーフにしたラブストーリー、ついに完結。今回は第13話~最終話迄を大ボリュームで収録しています。その分ちょっと値段はお高め。

描かれている内容は概ね原作の後半そのまま。ただ、雑誌連載の時と違って渡辺が首を言い渡されるシーンはガッツリ描き足しを加えていました。Sランク美女を手に入れて、地に叩き落された渡辺の絶望の表情は見ものです。

そのあとで渡辺は、傷心旅行で向かった伊豆でモテなかった時代に顔見知りだった女性と再会、そして……。

女にリードを許される男を描くことが多い(DMMの電子書籍での立ち読みで知る限りですが。ちなみにR-18なので未成年者はダメよ!)井雲先生が、ここまで男性に向けてエールを送る作品を描ききった。ラストが若干尻すぼみだったのは否めない。もうちょっと深く描いてくれればなぁ。

自分も、早く渡辺の様に素敵な女性と巡り会いたいです……が、最後のあとがきがすべてを帳消しにしていました。知りたい方はカバー裏も是非w(今のままでいいや……いや、よくない)。

ぼくは愛を証明しようと思う。(3) (アフタヌーンコミックス)
講談社 (2018-04-23)
売り上げランキング: 25

単行本

(原文公開:2017年6月23日)

第2巻は第7話『クラナン』から、第12話の『愛などいらぬ』までを収録。

第2巻は第2章の『出会いのトライアスロン』から、第3章の『はじめてのデート』、そして第4章の『恋愛プレイヤー』までを収録しています。その間の休載について全く触れてなかったのが残念……。

一気に成長した渡辺だが、その先に待っているのは……。原作を読んでいるからラストはわかっているけど、そこまできっちり収録してもらいたい!

ぼくは愛を証明しようと思う。(2) (アフタヌーンコミックス)
講談社 (2017-06-23)
売り上げランキング: 27

単行本

(原文公開:2016年7月22日)

コアマガジンの漫画誌で男総受けの成人漫画を描いていた井雲先生の初となる一般誌連載は、『げんしけん二代目』や『波よ聞いてくれ』などが絶賛連載中のアフタヌーンでの小説のコミカライズ。『天地明察』の後釜となれば、期待しても当然でしょう。

なお、一昨日に冴えカノと妹さえいればいい。も買ったけどさっぱり読んでません……(だめじゃん)。

(以下、ネタバレを含むため格納)

国内小説

(原文公開:2016年1月27日)

ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』と似たような構成をたどりながら、結末は全くの正反対。最後の大逆転劇にはあっと驚かされました。これで漫画版をたっぷり楽しめそうです。井雲先生がどこまで渡辺の変貌ぶりを描けるか見てみたい! てか、それ以前に筆者は間違いなくドラクエ好きだろ……。

弁理士の渡辺正樹は肉体関係まで持った彼女持ちのリア充――だったのだが、彼女のLINEを見て見知らぬ男に浮気されていることを知り、それが原因で彼女と別れる。そして同じ特許事務所の後輩には、渡辺と違うチャラい恋人が! 見事にリア充から非リア充に叩き落とされる。

失意のどん底に叩き落された渡辺は友人と一緒に酒を飲みに行き、美女に連絡先を聞いて出て行く男を見かける。その男の正体は、渡辺の事務所に来たことがある永沢圭一本人だった。永沢は恋愛工学と呼ばれるものをマスターしていて、その日も女性を口説き落としていた。彼から恋愛工学の話を聞いた時に渡辺は、

僕は少し不愉快になって、「永沢さん、ゲームって、ちょっとひどいんじゃないんですか?」と言った。この女の子だって、永沢さんのことが好きだから、大好きだからこんな風にすぐに会いたがっているのに、それをゲームだなんて……。(p55)

と疑問を投げかけ、『ドラえもん』や『世界の中心で、愛をさけぶ』の例えを出して反論する。しかし、永沢の次の一言は――

「だったら、そんなわたなべ君に、女たちはどうやって報いてきたと言うんだい? 現実はフィクションのようにうまくいったのか?」(p56)

そう言われた瞬間、反論することすらできなくなった。Fallout4で言えばステルスからのヘッドショットだった。

好きだった女にはことごとく捨てられたことを思い出した渡辺。彼は「フレンドシップ戦略」(友達からはじめて親密度を深めて、最後に告白したりして彼女になってもらい、セックスをしようとすること)を繰り返す「非モテコミット」(欲求不満な男が優しくしてくれた女を簡単に好きになるが、搾取されて最後は捨てられる運命でしかない男のこと)だった。渡辺にとっては、あまりにも過酷な現実がそこにあった。

力をつけたいと思った渡辺は、意を決して永沢から恋愛工学を学ぶ。そして、1日で数十人の女性に声をかける出会いのトライアスロン(水泳→自転車ロードレース→マラソンをこなすトライアスロンになぞらえている)に挑戦する。週末の街コン→ストナン(街中でのナンパ)→クラナン(クラブ……と言うより、ディスコでのナンパ)をこなし、永沢から様々な恋愛工学のテクニックを習得した渡辺は次々と女性と体を重ねていく。

引っ越しやジム通いをして自分を磨く一方で女をどんどん食いまくる渡辺だったが、それでも不調になることがある。その都度永沢から新しいテクニックを教わり(その過程で『利己的な遺伝子』という本を勧められる)、最終的にAランクの美女を落とすことに成功する。しかし、その時に相手した女性が婚約者だったことが仇となり特許事務所からクビを言い渡される。

その結果、他の事務所に行っても門前払いで肝心のナンパもうまく行かずに、アルジャーノンのチャーリィの最後と同じ失意のどん底に叩き落とされる。気分を変えるために孤独な下田への旅に出かけた時、渡辺に待っているものは――。

仕事では勝ち組でも恋愛では不運続きだった渡辺が立ち直ることが出来たのは、恋愛工学があったから……ではなく、女を口説くテクニックを知っていた永沢との出会いがあったからこそ、そしていつも寄っていたカフェの人が居たからこそ、そしてなにより資格をとっていたからこそ。人の縁と1年に及ぶ苦労の甲斐があってこそ、チャーリィのように障害者施設に行って孤独な人生を歩むようなバッドエンドを回避することが出来たのだ。もし最後の出会いがなければ、渡辺は以前より惨めな生涯を送っていただろうと思うと(別の事務所にすら入るのが厳しいとなればなおさら)……オタクになった渡辺も見たくなったけど、それはそれで別の話。

自分が非リア充なせいもあって、読んでいくたびに何度も「リア充爆発しろ」もしくは「リア充ざまぁ」と思うシーンが度々出てきます(特に第6章の冒頭の下り)。しかし、渡辺が苦労を重ねて最終的には報われるところを見ると、そう言えなくなります。幸せをつかむのは苦労があってこそ。苦労なくして非難してばかりでは何にも得られない。特に自分。反省orz。

また、本編中には「筆者は間違いなくドラクエやってんだろ!」と思わせる描写も幾つか見られます。

例えば、

「街コンっていうのは、ドラクエで言えば、まだレベル1とか2のやつが、スライムやドラキーと戦っているみたいなもんだよ」(p71)

と、街コンをドラクエのレベル上げに例えたり、疎遠になってしまった女性に対してさり気なくメールを送ることをザオラルメールと呼ぶあたり(もちろんザオラルの詳細も!)、「貴様、やっているな!」と突っ込みたくなりました。漫画版では主人公の部屋にPS3があったんだけど、今ならPS4にしても良かったんじゃないか? あくまで自分の考えだけど。

何もせずに座して死を待つより、何かをやり遂げて死ぬほうが人生は楽しい。今じゃ自分は道楽者になったけど、自分も何かしないと。

とにかく、エロゲ好きやライトノベル好きな人は読んでみると良いでしょう。読んで一笑に付すのもよし、前に出るもよし。判断は読んだ人にお任せします。小洒落た感じがするけど、ゲームが好きな人にはたまらない一冊です。漫画版をアフタヌーンで連載する理由がホントにわかるよ。なにせ、ドラクエ好きだろ! と思わせるシーンもあるし。

ぼくは愛を証明しようと思う。 (幻冬舎文庫)
藤沢 数希
幻冬舎 (2018-04-10)
売り上げランキング: 1,859